メダカとグアニン~虹色素胞・グアニンの増やし方~
メダカの虹色素胞に含まれるグアニン層の増やし方虹色素胞・グアニンとはメダカの場合は主に鱗に黒色素胞(こくしきそほう)、黄色素胞(おうしきそほう)、白色素胞(はくしきそほう)、虹色素胞(こうしきそほう)といった色素胞があります。その中の一つ虹色素胞は細胞の中にグアニンと呼ばれる結晶、グアニン層が集まっています。グアニンがメダカを輝かせるグアニンは光を反射する性質があるため、ラメ入りのメダカの鱗がキラキラと輝いて見えたり、体外光と呼ばれる光輝く外光もグアニンによるものと言えます。またヒレ先に集まったグアニンが青白く輝き、フサヒレと呼ばれるようなフリル(ヒレ先)が輝いて見えるものもグアニンによるものです。このグアニンが沢山ある個体ほど、人の目から見たときに反射によりキラキラと光輝き綺麗なメダカとして判断されています。イメージとしてとらえると蛍玉や蓄光石をご存じでしょうか?蛍玉はガラス職人さんが作った工芸ガラスであり、とんぼ玉の一種です。光に反射にキラキラと光る姿はまるでメダカ達の体外光やラメなどのグアニンを彷彿とさせます。一方で蓄光石は太陽光や室内灯の光を吸収し暗闇でも光り輝いてくれるものです。メダカのグアニンも似たようなところがあるなと思っています。夕方のラメ系のメダカ達、やたらとキレイだと感じたことはないでしょうか?日中に燦燦と光輝く太陽光を浴び、まるで光を虹色素胞、鱗にため込んだかのような輝かせてくれます。厳密にいえば違いますが、イメージとしてとらえたときにグアニン層はまるで光を蓄え放出しているかのように感じます。グアニンと太陽光蓄光石やとんぼ玉の話をしましたが、これらはあくまでもイメージの話であり実際には異なります。ただ、実際に太陽光などがグアニンの増殖に影響していることも確かです。基本的に魚は水温の上昇と共に活性や代謝が上がってきます。適正な高水温下においてメダカたちの活性や代謝が上がると同時にグアニンの発生も活発になると考えられます。屋外飼育において、太陽光が当たることでメダカたちの棲む水槽内の水温は上昇します。これらもグアニンの発生に太陽光が一役買っているといえます。周囲の環境によって変化するグアニングアニンは周囲の環境によってダイナミックに変化することで知られています。メダカにおいて、まだ厳密にはっきりとは分かっていないことも多いですが、明らかに育てて方で変化します。これまでの経験則で言えば薄い色合いの容器で容器の中からも光を反射させ、他の色素胞よりも虹色素胞を優位にし、高水温などによってグアニンの細胞分裂の発生を積極的に促していく。私はそういったイメージを持ちながら育てています。虹色素胞に含まれるグアニン層は非常に面白く謎めいています。光に支配されるメダカたちメダカたちは光によって様々な変化を私たちに見せてくれます。分かりやすい機能でいえば、保護色機能があります。いわゆる背地反応です。メダカたちは目から入る光で情報を得ています。体色をつかさどる色素胞もまた同様です。容器の色によって、メダカたちの目から入る情報が変化します。その後、色素胞は拡散したり凝集したりしています。この拡散と凝集によって例えば、薄い容器から濃い色の容器に移動したときに素早くその容器の色、背地に適応したように色素胞を変化させます。これが目から入った情報による拡散、凝集という生理現象です。この現象には2つのタイプがあります。それが生理学的体色変化と形態学的体色変化です。これについてはメダカの背地反応・拡散と凝集をご覧ください。色素胞の減少と増殖のコントロールこれらのことをしっかりと理解できていれば、色素胞の減少と増殖のコントロールが可能となります。例えば、白い容器にメダカを入れていると徐々に体色が薄く変化していきます。これが比較的短期間で変化する体色変化=生理学的体色変化です。そのまま、さらに長期間の間ずっと白などの薄い容器にいれて育てていると色素顆粒が凝集した状態が続きます。次第に黒色素胞の数が減少し、個々の細胞も退縮し体色がより顕著に白くなっていきます。もちろん、また黒容器に入れると逆に拡散され濃くなっていきます。この時間をかけた変化を形態学的体色変化と定義づけ動画の方ではお話させていただいております。※画像は白容器で飼育していたメダカを黒容器に入れ1か月飼育した場合の実際の様子です。説明とは逆パターンの事例になります。最も大切なのは遺伝的な要素ここまでグアニンの増やし方への考え方をお話してきましたが、一番大切なのは遺伝です。幹之(みゆき)メダカの歴史皆さんご存じの幹之メダカですが、昔は点ほどの光でした。(点光)その光(グアニン)が改良と共に伸びていき今のようなフルボディと呼ばれるような口先までびっしりと光輝くメダカへと変化しました。仮にこういった遺伝子が入っていないメダカ=例えば野生のメダカをいくら育て方を工夫して育てたところで、全身が光輝くメダカにはなりません。※キタノメダカ(原種)がフルボディになることはない×最も大切なのは遺伝です。フルボディの親で採卵(繁殖)させる仔だからこそ、フルボディの遺伝によって光輝くメダカが生まれてきます。この部分が基本であることをしっかりと覚えておく必要があります。グアニンの申し子と言われる魚たちグアニンが多い魚といえば、真っ先に思い浮かぶ魚はなんでしょうか?私は真っ先に太刀魚(タチウオ)が思い浮かびます。海水魚であることと、鱗がない点から比較対象としては不向きではあるものの、そのグアニンの多さは、食べすぎるとグアニン多量摂取によって腹を下す原因(グアニン中毒)になるとまで言われています。それほどまでにグアニンが多い彼らが棲むのは水深200mを超えるような深海です。日中は100~350m付近で生息し朝夕、夜間になると表層付近に餌を求めて活動しています。日中は太陽光が当たらないような深海で生息し、メダカ飼育におけるグアニンの伸ばし方とは全く逆ともいえる環境で生息しています。それでも彼らの体は常にフルボディのグアニン層に包まれています。まさに鱗の代わりとも言えます。逆に表層付近の暖かい場所に生息している浮き魚(うきうお)とも言われている、こちらもグアニンの代表種ともいえるサンマのような魚もいます。このことからも分かるように基本的には遺伝(その魚が元々もっているDNA)が何よりも大切というのが分かるかと思います。その中で、メダカのように育て方によってグアニンの乗り方(見え方)が変わるのもまた事実です。育て方で変わるグアニンは遺伝に影響しない?ここまで読み進めていただいた方はグアニンは育て方で細胞分裂の発生が促され、環境によってダイナミックに変化することがあること。また基本的には遺伝が何よりも大切であることがご理解いただけたと思います。その中で仮に育て方が上手くいかず惜しくもフルボディにならなかったスーパー幹之くらいのメダカがいたとします。では、その親から子を取ったときに仔の世代でフルボディにならないかと言われると、育て方次第で仔を全てフルボディにすることもできます。もちろん、点光の親の仔をフルボディに育て上げることは難しいですが、少しの違い程度であれば、育て方で伸ばすことが出来ると考えられます。こちらの記事の内容はyoutube動画からの一部抜粋です。より詳しく知りたい方は【媛めだか グアニン】で検索。
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