メダカ飼育における汚泥除去の大切さ

メダカ飼育における汚泥除去の大切さ

メダカの屋外飼育はろ過なし飼育であることを熟知し、そのうえで汚泥除去の大切さについて考える必要があります。

メダカの屋外飼育における汚泥除去の重要性~青水の沈殿および食べ残し、デトリタス他~

汚泥とは


魚を飼育していると様々なものが容器の中に蓄積されていきます。
それらの堆積物・蓄積物はひっくるめて汚泥と呼ばれています。

 

メダカの屋外飼育において言えば、植物プランクトンの死骸やメダカの糞、食べ残しの餌など色々なものが底に溜まり蓄積されていきます。
こういった微生物の死骸や排泄物などの有機物などはデトリタスといった言われて方をされることもあります。
このデトリタスなどの汚泥は水に溶けること水中を浮遊しながら、やがて容器の底の方に沈殿、蓄積されていきます。

この汚泥の中には硝化細菌、硝化バクテリアなどの良い菌もいれば、病原菌などの悪い菌も含まれています。

 

通常の観賞魚飼育においては濾過などによって濾過槽内に蓄積されていきそれらの汚泥が水中に舞い上がることはありません。

メダカの屋外飼育の場合、これらの汚れは容器の底に蓄積されていきます。

 

これがあまりよくありません。
この蓄積された汚泥は屋外という不安定な気候・天候によって水質を悪化させていきます。
例えば、急な雨などによって水質バランスが崩れたり、過度な水温の上昇とともに水の腐敗が始まります。

 

水質を綺麗にするバクテリア達

汚泥に含まれる菌の中にはメダカたちにとって良い菌もいます。
例えば硝化バクテリアなどの魚たちにとって良い細菌(バクテリア)たちです。

 

彼らは本来、水を浄化してくれるバクテリアたちは好気性です。酸素を沢山必要とします。

屋外のろ過なし水槽では酸素などはもちろん、本来定着するためのバクテリアたちの棲みかとなる濾過槽も存在しません。底床材(砂利や赤玉)を敷いていたとしても、屋外においての微生物の増殖と死滅は過剰なほどに多いものです。
次第に底床材は詰まり限界を迎えます。

水槽ろ過ありの熱帯魚飼育のような水質浄化を屋外の彼らに期待し過ぎないようにしてください。

 

天候や気候に左右され微生物の増殖と死の過剰な繰り返しに影響されるのがメダカの屋外飼育です。

これらのバクテリアに頼るといった飼い方自体が不向きな環境です。
ましてやメダカ飼育で使われているような小さな容器に室内飼育のイメージを求めるのは間違いです。
仮にはじめは上手くいっていたとしても、それらは束の間、年間(シーズン)通してみた時に継続的に水質維持していくことは困難でしょう。

 

メダカ業界では必要以上に微生物を添加するのが流行っていますが、屋外のように微生物が自然と湧く環境下においては過剰な微生物の添加は不要とも言えます。
どちらかといえば、必要なのは微生物の添加ではなく、十分な量の水量です。
メダカ1匹あたりに対する水量をゆったりと確保し、必要な時に水換えを行い、不要な時には水換えを控える。
これらが最も大切になってきます。

 

微生物はある程度の水温があれば自然と湧きます。
逆に言えば自然と湧くことができない程の低水温下に微生物を添加してもそれらは死ぬだけです。
生物の死は水の腐敗へとつながります。

 

過剰な微生物のすすめ

熱帯魚屋・アクアリウムショップなどであれば、水槽に餌、濾過槽、数百数千という各種熱帯魚。販売するものが無数にあります。
ただメダカの世界においてはメダカ屋はメダカ以外に「売るものがない」という一面があります。
またメダカ屋自体の多くが一般の愛好家の副業であることも多いです。
そういったメダカ業界特有の背景から毎年流行りを作り販売されている一面もあるかと思います。

 

少し過剰なまでに微生物を含む商品がごり押しされることがあります。

 

正直趣味の世界でなければ全否定したい商品も中にはありますが、あくまでも趣味の世界のため愛好家自身が自ら選択し楽しむ分には好きに使われても問題はないかと思います。

 

メダカの屋外飼育がどれだけ微生物が湧きやすい環境下であるかも知っておく必要があります。

ただ、もしその商品を使う目的が単にメダカを殖やしたいということであれば、参考までに私自身はメダカ屋でメダカで生計を立てていますが、「人工飼料のみで特別なことは何もせずともメダカを殖やし生活できるほど販売し、それでも余ってしまうほど殖えるのがメダカ」であることも知っておいてください。

 

 

汚泥由来による酸欠

話は戻りますが、メダカだけでなく、容器の中にいる生き物は基本的には全て呼吸しています。
場合によっては汚泥由来による溶存酸素量の低下とともに酸欠になることもあります。

 

硝化バクテリアなどの酸素を必要とする好気性細菌を含む活性汚泥などは豊富な酸素が供給されていない場所では活発に働くことができません。

 

汚泥の中には沢山の微生物が存在しているため水質を浄化してくれるという一面もあります。
ただ、これは適切な処理、環境下においての話です。
メダカの屋外飼育のように日々微生物が増殖し死滅し沈殿しているような環境下において、汚泥の蓄積は水質浄化というよりもそれらが過剰に蓄積されることによって有害な菌も蓄積されていき病気の温床になったり、水質の悪化へとつながっていきます。

また汚泥が過剰に蓄積されていくと嫌気性条件下で硫化水素が発生していることもあります。
屋外の場合、雨などによって撹拌されることで急激に高濃度に硫化水素ガスが発生することもあります。
水に溶けやすいので、魚の呼吸器障害、酸欠のような状態になり突然死を招くこともあります。

 

雨に限らず、強風などで汚泥が舞い上がるなどして、良くないガスが発生する場合もあります。
いずれも稀なケースではありますが、屋外のような気候・天候が不安定かつ水温なども安定しない環境下においては汚泥由来の良くない毒素が出て来ることがあります。

 

真冬や季節の変わり目を除けば、これらの汚泥は小まめに除去していくことが非常に大切になってきます。

 

ではなぜ真冬や季節の変わり目を除くかというと、微生物も少なからず必要なためです。
夏場であれば、あっという間に微生物が湧き水が出来てきます。
メダカたちの活性や免疫や代謝も高いため、積極的な水換えでも問題ありません。
ただ、季節の変わり目や冬場に同様のことをしてしまうと問題が出てきます。

 

水が温かく保てているのは微生物のおかげでもあります。
水が出来づらい季節の変わり目や冬場に全換水などしてしまうと、水温が下がり、メダカたちも免疫力も下がり、病気の発症へとつながります。

 

より詳しく分かりやすくイラストなど踏まえ動画でも説明しているので興味がある方はそちらもご覧ください。
こちらの記事の動画タイトル「メダカ飼育で汚泥を除去することの大切さ」動画では実際の汚泥の取り方や別動画でバイオフィルムについても解説しています。
合わせてご覧ください。

※各記事は動画でより分かりやすく、より詳しくご覧いただけます。