「卵はたくさん産んでくれるのに、針子(生まれたての稚魚)がなかなか大きくならない」
「ある日突然、容器の水が綺麗なのに全滅してしまった」
そんな悩み、抱えていませんか?
メダカの繁殖において最もハードルが高いのが、この「針子〜稚魚(1cmくらいまで)」の時期です。
逆に言えば、この時期さえ乗り越えてしまえば、メダカの繁殖は9割成功したようなもの。今回は、「針子を落とさないための鉄則」を、少し専門的な視点も交えながら解説していきます。
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理想の水温は25℃~30℃だと言われています。これに関しては概ね間違いありません。
でも、なぜこの温度帯が良いのか、そして「具体的にどう管理すべきか」をもう少し深掘りしてみましょう。
メダカは変温動物です。水温が上がれば代謝が上がり、下がれば下がります。
特に内臓ができあがっていない針子にとって、代謝(消化能力)は生命線とも言えます。
つまり、25℃〜30℃をキープするのは「快適だから」だけでなく、「餌食いの向上」「食べた餌を最速で栄養にする」ために必要な条件と言えます。針子は身体が小さい分、エネルギー切れが死に直結します。

微生物の発生は水温に大きく左右される
25~30℃の水温は、メダカの稚魚にとってだけでなく、微生物が繁殖するのにも最適な環境です。
そのため、少し高めの水温を保ち、常に稚魚の餌となる微生物の発生を促すことが大切です。
屋外飼育で絶対に気をつけたいのが、1日の中での温度変化(日較差)です。
屋外飼育において一日の中での一時的な水温の上下は必ずあるため過度に気にする必要はありません。
ただ、昼間は太陽光で30℃、夜は放射冷却で10℃……このような極端な寒暖差は、人間で言えばサウナと水風呂を往復しながら生活しているようなもの。体力の無い針子には過酷すぎます。
春の初めは寒暖差や寒の戻りがあるため、針子が死んでしまう原因の多くは餓死ではなく、日中と夜の気温差による水温の急変にあります。

寒暖差がまだ残っている春先の針子飼育において大切なのは、「最低水温を底上げする」という考え方。
夜間の冷え込みを防ぐために、発泡スチロール箱を使ったり、夜だけ蓋をしたりして、とにかく水温を安定させる。最高気温を気にするよりも、最低水温と最高水温の差を10℃以内(理想は5℃以内)に抑えることが、生存率アップの鍵です。
関連記事・・・稚魚・針子の育て方で大切なのは水温?
「孵化させるだけだし、プリンカップでいいや」
これ、一昔前のメダカ愛好家の方がよくやっていました。でも、これが最初の落とし穴です。
卵から孵化させるための一時的な管理としては問題なくとも、そのままでは針子は成長しません。
ある程度の大きさの容器が必要になります。
針子は泳ぐ力が弱いため、一見すると小さな容器の方が餌にたどり着きやすく、体に合わせた快適な環境に見えます。しかし、水量が少ないことには致命的なデメリットが2つあります。
「どの容器が一番いいですか?」とよく聞かれますが、正直なところ、ベストな容器は「季節」によっても変わってきます。
特に難しいのが春先です。
まだ気温が上がりきらない時期、水量が多すぎると太陽光を浴びてもなかなか水温が上がらず、卵の発育が進まず孵化出来ないこともあります。かといって、水量を少なくしすぎると、今度は夜間の冷え込みや日中の急激な温度変化(寒暖差)に耐えられず、針子が死んでしまいます。
過度な水温変化を遅らせるため、湯煎式で管理することもあります。採卵、産卵、繁殖.png)
また、容器選びで大切なのは「孵化させること」だけではありません。「孵化した後、稚魚までどう育てるか」という成長まで考慮する必要があります。
生まれた瞬間は、小さな容器でも管理できますが、そのままでは日較差による水温の乱高下や水質悪化のスピードに針子が耐えきれなくなります。途中で広い容器に移し替えるのも、デリケートな針子には大きなリスクです。
そうした「水温の安定」と「将来の成長スペース」のバランスをトータルで考えると、最低でも10リットル〜20リットル程度の水量は最初から確保してあげたいところです。
手軽な容器
ご自宅の飼育スペースを考慮すると、NVボックス13(約13リットル)が、「水量がほどよく、水面も広い手頃な容器」です。
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なぜ深さよりも「広さ」が重要なのか?理由は2つあります。
「生まれたばかりなのに、こんなに大きな容器で大丈夫?」と思うかもしれませんが、大豪邸すぎるくらいがちょうど良く。水量はそのまま、針子の命を守る「盾」となってくれます。

「昨日まで元気だったのに……」という全滅パターン。針子の死因には以下のようなものがあります。
「これが圧倒的No.1の死因です」・・・と言いたいところですが、実際にはそれほど多くありません。
針子は生まれてから3~4日のあいだ、「ヨークサック」と呼ばれる栄養袋を持っています。
この期間は、そのヨークサックの栄養だけで生きられるため、基本的に餓死は起こりません。

しかし、ヨークサックを使い切った瞬間から、いよいよ過酷なサバイバルが始まります。
口が小さすぎて餌を食べられない、そもそも餌を見つけられない、といった問題が出てきます。
ただし、針子が健康に成長するのに適した水温(25~30℃)が保たれている環境であれば、彼らの餌になるインフゾリアなどの微生物は、容器の中で自然にわいてきます。
そのため、本来は「餓死」という状況になることは、そう多くはないはずです。

餌をたくさんあげなきゃ!と張り切って粉餌を撒きすぎると、水底で餌が腐敗し、アンモニアが発生します。
針子は水面付近にいることが多いですが、水質の悪化は底から始まります。気づいたときには手遅れ……というパターンです。
特に針子や稚魚は、小さな容器で飼育されることが多いため、水量が少なく、水質悪化の影響を強く受けやすいことへの注意が必要です。
良かれと思ってエアレーションをしていませんか?
針子にとっての水流は、台風の中に放り出されたようなもの。泳ぎ続けることにエネルギーを使い果たし、力尽きてしまいます。針子の時期は、エアレーションなし(止水)が基本です。
ここが一番の盲点であり、かつ防ぎやすいポイントでもあります。
身体の小さな針子は、水温の変化に対する耐性が成魚ほどはありません。
特に小さい容器を使っていると、外気の影響をダイレクトに受けて、お湯になったり冷水になったり……この「水温の乱高下」こそが、針子の体力を容赦なく奪う正体です。
だからこそ、前の章で触れた「水量の多い容器」が、温度変化を緩やかにする最強の防御策になります。
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ここが一番の腕の見せ所です。僕のスタイルは「人工飼料」と「天然の微生物」の二刀流。これで生存率が劇的に変わってきます。
記事でも紹介している「メダカの舞 ベビー」などのパウダー状の餌は非常に優秀です。ただ、与え方にコツがあります。
これが「放置でも育つ」と言われる理由です。
青水・グリーンウォーターの中にいる植物性プランクトンも、ゾウリムシなどの微生物も、メダカの屋外飼育においては自然発生していることが多いです。針子にとっては「栄養ドリンクのプール」に浸かっているようなもの。口を開ければ勝手にプランクトンたちが入ってくるので、餓死のリスクがほぼゼロになります。
「人工飼料で腹を満たし、微生物で隙間時間を繋ぐ」。この二段構えなら、成長スピードは見違えるほど速くなります。
難しく考える必要はありません。
適正な水温と、適正な水質を保つことが出来れば、針子たちが食べる餌(微生物)は自然と湧いてきます。
数週間もすれば、メダカは通常の人工飼料も食べられるようになり、後は親メダカ同様の育て方で問題ありません。
微生物の有無が心配な方に最適な下記のような商品もあります。
容器・水槽の中に入れることで自然と微生物が湧いてくる商品です。
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