
今回は「過抱卵に見えるけれど実は違う、腹部肥大を伴う突然変異体メダカ hotei(布袋)」について、解説します。特に、過抱卵とhotei個体の違い、そしてその原因となるamhrII遺伝子の異常について掘り下げていきます。
.jpeg)
hoteiとは、生殖細胞が異常に増殖し、生殖腺(卵巣や精巣)が肥大化する突然変異を持つメダカです。
この腹部膨満は「卵を抱えすぎた過抱卵」とは異なり、主因は生殖細胞そのものの異常増殖にあります。
原因は「抗ミュラー管ホルモン受容体II(amhrII)」遺伝子の機能異常によるもので、性腺の発達シグナルが正常に働かず、結果として卵巣や精巣が過剰に肥大してしまうことが知られています。
布袋、hotei、過抱卵.jpeg)
外見的には「卵で詰まっている」ように見えるため、過抱卵と誤診しやすいのが大きな特徴です。
.jpeg)
本来、一般的なメダカでは「メスからオスへの性転換」が多く観察されます。
ところが、hoteiでは逆にオス→メスへの性転換(雌性化)が高頻度で発生するという特殊性があります。
そのため「XYなのに外見はメス」という個体も多く、腹部肥大が「過抱卵」と誤解されやすいのです。
※画像の個体はhoteiとしては珍しいオスの布袋個体
※Youtubeでは実際の動画映像と共にご紹介しております。
【媛めだか hotei】で検索
.jpeg)
hoteiの多くは、生殖腺が正常に機能せず不妊に陥ります。
ただし完全に不妊ではなく、ごく一部には生殖可能なケースも報告されています。これもまたhoteiの複雑で興味深い特徴の一つです。
研究によれば、amhrII遺伝子の変異は雄性化に必要なシグナル経路を阻害し、その結果生殖細胞が異常増殖することが確認されています。
この現象は、
といった分野において、重要な研究対象とされています。
つまりhoteiは、単なる「飼育上の異変個体」を超えて、発生学・遺伝学的に価値ある突然変異体といえます。
hotei(布袋)メダカは、生殖細胞の異常増殖によって卵巣や精巣が肥大し、腹部が大きく見える突然変異体。
通常の「過抱卵」と異なり、卵の抱え込みではなく器官そのものの肥大が原因。
ほとんどが不妊傾向だが、ごく一部で繁殖が可能な場合もある。
原因はamhrII遺伝子変異であり、性決定・生殖発生の研究において国際的にも注目されている。
腹部が著しく膨れているからといって「必ず過抱卵」とは限りません。
過抱卵が改善しない個体には、hotei突然変異の可能性を考慮してみてください。