雨ざらしだとメダカが強くなるって本当なの?メダカの屋外飼育への考え方

雨ざらしだとメダカが強くなるって本当なの?メダカの屋外飼育への考え方

趣味の世界にはいろいろなものがあります。その中でもペットというカテゴリーは命を扱う趣味でもあります。その部分は決して忘れてはいけません。

間違いだらけのスパルタ飼育!世話をすることが魅力のメダカ飼育

屋外飼育は変化の連続

メダカの屋外飼育はメダカたちにとって命の危険を伴う気候・天候の変化の連続です。

例えば、雨一つをとっても、季節によってはちょうど良い足し水になってくれます。
こういった場合は雨の水質にもよりますが概ねメダカ達にとっても恵みの雨になるでしょう。

 

一方、真冬に降るような冷たい雨の場合は危険です。
ただでさえ免疫が下がっている所に更なる水温低下を招く雨は危険な雨とも言えます

雪などが降ってくると雪が水面からシャーベット状になりながらメダカ達の体に降り注いでいきます。
どんなに強いメダカでも死んでしまう可能性が高まります。
こういった場合には必ず蓋をしてください。

こういった時は水面が凍っている方が良いです。
水面が凍ることでそういった事態も免れます。

 

飼育者が忘れてはいけない大切なこと「脱スパルタ飼育」

よくこうした話をしていると「雨ざらしの方が強いメダカになるんだよ。」と言われる方がいます。
「スパルタ飼育」なんて言われ方をされることもあります。

簡潔に言えば、「劣悪な環境で生き残ったメダカは強い」という安易な考え方です。

生き物を飼うものとして、あまり良い考え方とは言い難いです。
そもそも劣悪な環境で育ったメダカが強く健康に寿命を全うするとも限りません。

 

例えば私たち人が「生まれてから死ぬまでの間」に一度も病気にならない人がいるでしょうか?
答えはNOです。誰しもが風邪などを引き病院に行ったことがあるでしょう。
メダカも同じです。

 

日本は男女平均寿命が世界一の長寿の国です。
日本は衛生面や食料面など世界的に見ても優れた環境といえるでしょう。

世界的に平均寿命が長い国には同様の特徴があります。
健康的な食であったり、適度な運動など含め何よりも大切なのが医療制度の充実です。

 

日頃から病気にかからないように気を付けること、病気にかかった時に、病院に通えること。
世界一ともいえる日本の公的医療制度のほか比較的最先端の医療技術が世界一の長寿国である所以といえます。

 

逆に中央アフリカのような平均寿命が短い国の特徴としては、食料不足の他にも、医療制度の不備、医療資源の不足です。

 

食料不足、栄養不足、劣悪な環境にて病気にかかりやすい状態。
また、病気にかかっても治療がろくにできない状態です。
当然平均寿命も短く、劣悪な環境下のため寿命が延びることもありません。

 

環境が悪いからと言って病気にかからない強靭な肉体が手に入るとは限りません。
どんなに劣悪な環境下で歴史を積み重ねてきたとしても必ず病気になります。
恵まれた環境で過ごした人が虚弱とは限らず、また劣悪な環境で過ごした人が強靭とも限りません。
メダカも同様です。

 

良い食事を与え、それによって汚れた水を病気にかかる前に水換えによって水中の毒素を取り除いてあげる。適切な飼育環境を整えてあげることが何より大切です。

 

もちろん、劣悪な環境で生き残ったという点において、なにかしら、例えばアンモニアへの耐性だったり免疫力の強さだったり、多少の強い弱いの個体差はあります。
ただ、それ以上に劣悪な環境での日々のダメージの蓄積の方が大きく、多くのメダカは死んでしまいます。

 

日頃、当店の「媛めだかch」にて動画でお伝えしている内容はごくごく一般的な観賞魚の飼育方法です。
本当の意味で弱い個体は日本の四季や寒暖差を生き残ることは出来ず通常の飼育において淘汰されていきます。
こうした、ごく一般的な飼育方法ですら過保護飼育と呼ばれてしまうことがあります。

 

特別な餌を使う訳でもなく
特別な添加剤など投入するわけでもなく
必要最低限のことだけの飼育方法ですら過保護と言われてしまいます。
非常に残念でなりません。

 

趣味の世界なので極論を言ってしまえば自由に好きに飼えば良いと思っています。

とはいえ、やはり生き物です。趣味の世界の中でも命を扱う部類の趣味にあたります。
冒頭でご紹介したような「急に降り注ぐ雪のシャーベット」のような状況は「強い」「弱い」に関わらず命の危険を伴います。
最低限、その先に死というものが待っていることを踏まえ、最低限の飼育はしてあげたいところです。

 

また「弱い個体は死んじゃっても仕方ないんだよ」という考え方の中には単に「知識・技術の不足により飼育がヘタなだけ」というケースもあり、自身の飼育下手の言い訳として「スパルタ飼育」という言葉を使っている方もいます。

逆に飼育の本質、根本的な部分での水への理解が足らず、とりあえず良いと言われている「各種添加剤」や「飼育グッズ」を使ってはいるけど上手く飼えない方もいます。言われたことを言われた通りやってはみるものの、その理由を考えずに言われた通りやっているだけなので何がダメなのかが分からない。という人たちです。

上記の両極端な両者に一つ言えることがあるとすれば仮に「全く同じ飼育用品を全く同じ環境下で、決められた時間しかお世話を出来ない」としても飼育者の知識・技術次第でメダカは死なないということです。

 

たかがメダカ飼育されどメダカ飼育。

 

知識と経験それに基づく飼育技術は一朝一夕で身につくものではありません。
水は魚にとって空気のような存在です。
当サイトやyoutubeチャンネルにて水への理解を深めていってください。

 

生き物を飼われている方の多くは「飼うという事」、「お世話をするのが楽しい」という事で飼われているの方も多いはずです。

 

観賞魚を飼育していると初めは命の尊さが学べていたはずなのに皆どこかのタイミングで日常的な普通のことになってしまうタイミングが訪れると思います。
飼育にのめり込んでいた時は死なせなかった方でも、飽きてくると死なせてしまうものです。

 

初心を忘れず、趣味とはいえ扱っているのが命であることを忘れない気持ちも大切です。

 

バイクや自動車、ロードバイク、料理やお菓子作り、ハンドメイドなど様々な趣味がある中で、ペットというジャンルは命を扱う趣味です。

その中でも観賞魚の世界は犬や猫など他のペットと比べ命が軽視されやすい世界とも言えます。

近年のメダカブームによってメダカがお金にしか見えなくなってしまっている人も多い世界です。

 

中には大切に飼育する方たちを批判しながら自身でスパルタ飼育だと言いながら、批判だけでは飽き足らず見ず知らずの相手に対し誹謗中傷しながら注目を集めるようなyoutube配信をしている情けない落ちしてしまったメダカ愛好家(メダカ屋気取り)もいます。
この辺りは倫理観の問題ともいえるでしょう。

 

私自身もメダカ屋としてメダカを商売の道具として利用しているとも言え、決して偉そうなことを言える立場ではありません。
だからこそ最低限、大切に飼育する気持ち、命を扱う職業であることだけは忘れてはいけないな。と思っています。

※各記事は動画でより分かりやすく、より詳しくご覧いただけます。