冬のメダカ飼育では、エアレーションや濾過を止めることが一般的ですが、水温や飼育環境によっては止めない方が適切な場合もあります。メダカの越冬を成功させるためには、エアレーションによる水温撹拌や水流の影響を理解し、最適なタイミングで管理を調整することが重要です。
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エアレーションをすることには様々なメリットがあります。
例えば、酸欠防止だったり、夏場であれば泡がはじける時(気化熱)によって水温を下げてくれるため夏場の水温上昇対策にもつながります。
バクテリアの中にも好気性バクテリアのような酸素が大好きなバクテリアもいます。
またエアーレーションで曝気することでアンモニア濃度の減少にもつながります。

通常、エアレーションはメダカたちにとっても、水中の微生物・バクテリアたちにとってもメリットが多いです。春先から秋にかけては出来ることであればエアレーションしておきたいところです。
ただ、冬になると事情が変わってきます。
水は3.98℃が一番重く例えば、外気温が0℃に近くなるような真冬の朝方になると水面に氷が張ってきます。
氷が張ったとしても水中の水温が0℃に近いとは限りません。

水面に氷が張っている状態でも底の方の水温は4℃近くあり水面付近と比べると温かい為、メダカ達は底の方で暖を取り、寒波をしのいでいます。こうした状況下でエアレーションをした状態だと底の方に溜まった温かい水が撹拌されてしまいます。
ホットコーヒーに氷を入れた状況を想像してみてください。
混ぜなければ、コップの底の方のコーヒーは温かいままですが
マドラーなどでかき混ぜることで、あっという間にアイスコーヒーになっていきます。
真冬のエアレーションはこのマドラーのようなものです。
仮に結果的には同等の水温になったとしても、そこに至るまでの過程が大切です。
水温変化はできる限り緩やかに抑えておきたいところです。
また、冬場はメダカたちも活性や代謝が止まったような状態です。
活性や代謝も止まっているため通常は水底でジッとしています。
エネルギーもほとんど必要とせず、餌を食べることもありません。
こうした状況のメダカたちにエアレーションしてしまうと問題が生じます。
エアレーションによる水流によってメダカたちがその場に留まるために運動(泳ぐ)をする必要がでてきます。
免疫が下がった状態のメダカたちにとって疲弊は免れません。
これもエアレーションを止めたい理由の一つといえます。
春~秋の間は酸欠予防や水温上昇を防いだり浄化にも一役買い、メダカたちの命を救ってくれていたはずのエアレーションが今度はメダカの命を奪うものへと変わってしまいます。

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多くの淡水魚は冬季、エネルギー消費と寒さを避けるため、流れの緩い深みや隠れ場所に移動し、活動量と摂餌量を最小限に抑えます。これは低代謝状態を利用した越冬行動であり「冬越し」と呼ばれます。冬季の体力維持のため静かな環境を好みます。
流れがある環境:流速の影響下に長時間置かれるとエネルギー消費が増加し、越冬失敗の要因になることが示唆されています。
極端な例として、極寒時の漁礁や湖沼では、最下層の「ヒプオリメティック(低酸素・低エネルギー消費領域)」が魚の隠れ家となる研究があります。
ただし、メダカ達が完全な越冬態勢に入るまでは酸欠などの水質悪化が懸念されます。
今までエアレーションを導入していた環境においては止めるタイミングが大切になります。

通常メダカたちは水温が15℃以上あれば、元気よく活発に泳いでいます。
日中のメダカたちは常に軽くウォーキングしているような状態です。
夜間の就寝中と比べ日中は呼吸が早く、多くの酸素を消費しています。
これが水温が15℃を下回ってくると、次第に少しずつ動きが緩やかになってきます。
水温10℃を下回る頃には動きもだいぶ鈍くなってきます。
メダカ達の活性が下がり日中も泳ぐことをやめ、水底で暖を取るようになってくると消費する酸素量も大きく減ってきます。と同時に水温が下がることで、水中に溶け込むことのできる酸素量は逆に増えていきます。
今まで高水温下で活動していたバクテリアたちも水温が下がってくることで活動が停止していきます。
止めるタイミングは飼育環境や地域、お使いの容器の水量や色、前後のお天気によっても変わってくるため具体的な数字で示すのは難しいです。
目安としてメダカやバクテリアの活動が鈍くなってくる時期、日中の一番温かい時間帯の水温が10℃~15℃以下になってくる頃にはエアレーションを止める時期といえるでしょう。