メダカの体色が変化する理由の一つとして、最新の研究から「脳下垂体が紫外線を直接感知し、体色を調節する仕組み」が明らかになりました。
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メダカの頭部には「脳下垂体」と呼ばれる内分泌器官があり、ここに紫外線(特にUV-A)を感知する特殊なたんぱく質「Opn5m(オプンファイブエム)」が存在しています。このたんぱく質が紫外線を直接受容すると、脳下垂体内の黒色素胞刺激ホルモン(MSH)が分泌されます。
このホルモンの働きによって、メダカの体の黒い色素細胞(黒色素胞)が活性化され、体色が黒く濃くなります。これは紫外線から身を守る防衛機能であり、体表のメラニン産生を促進することで紫外線によるダメージを軽減していると考えられます。
従来、脳下垂体のホルモン分泌は脳の他の部位からの指令でコントロールされていると考えられていましたが、このメダカの仕組みは「脳自体が直接紫外線を感知してホルモンを分泌する」という哺乳類にはない独自のものであることがわかりました。
この発見は、東京大学を中心とした研究チームによって2025年に発表され、紫外線の波長を特異的に感知し、体表の紫外線防御を強化するという生物学的意義がはっきりと説明された珍しい例となっています。

日陰などで飼育していると紫外線量が少ないため、MSHの分泌は比較的抑えられ体色は薄くなりがちです。日中に強い太陽光(紫外線)を浴びると、脳下垂体が紫外線を感知してMSHを分泌し、10日前後で背側の体色が濃く黒くなっていることが観察されます。
※Opn5mをもつメダカにおいてMSH産生細胞が反応し細胞内のカルシウムイオン濃度が上昇、Opn5mもたない遺伝子改変されたメダカにおいては、この現象が見られない。
この体色変化は紫外線からの防御反応であり、紫外線量が多い時間帯に適応的に身を守るための生理現象です。
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紫外線によって体色が濃くなることによって、脳下垂体に届く紫外線量が少なくなります。
これによって黒色素胞刺激ホルモン産生細胞(MSH産生細胞)の分泌が減少します。
本来は保護色とも言える、茶系の黒体色も、自然界においてはオロチメダカのように体色が濃くなり過ぎると逆に目立つ存在です。
これだと捕食者に見つかりやすくなってしまうため、その場の環境に応じて、ちょうどよい色合いになるのではないかとも推測されています。
メダカの体色は紫外線だけでなく、水温や照明、水質、さらには餌の種類など多くの環境要因によっても影響を受けます。これらの複合的な要因が絡み合って、時間帯や季節によって見た目の色合いが変わることが多いです。
参考文献・引用元
この新発見により、メダカが太陽光の紫外線を脳で直接検知し体色を変化させることで身を守っていることが明らかになり、動物の光環境適応や紫外線防御の理解が大きく進展しています。これにより、メダカの魅力が学術的にも高まると同時に、飼育や観察の際にこの体色変化のメカニズムを知ることは楽しみ方の一つにもなります。
研究成果を発表してくださった大学の研究者の皆様に、メダカ愛好家として心から感謝いたします。新たな楽しみをいただき、本当にありがとうございます。