雨の日のメダカ餌やりはNG?根拠に基づく判断基準と水質変化

雨の日のメダカ餌やりはNG?根拠に基づく判断基準と水質変化

雨天時の給餌は「日照不足による酸欠や水質悪化」と「水温低下による消化不良」のリスクを考慮し、環境ごとに判断が必要です。 ただし冬場はメリットがないため、餌やりも控えるのが鉄則です。

なぜ「雨の日は餌を切る」と言われるのか?変温動物としてのメダカの生理機能と消化酵素

メダカ飼育において「雨の日は餌を与えてはならない」という定説が存在します。これは経験則として非常に有効ですが、現代の飼育環境は多様化しており、全てのケースに一律に適用するとは言えません。


ここでは、降雨が飼育水(環境)およびメダカ(生体)に与える影響を、「微生物叢(そう)の代謝バランス」「変温動物の生理学」の観点からの判断基準をご紹介していきます。


飼育水の変化:植物プランクトンと溶存酸素

屋外飼育、特にグリーンウォーター(植物プランクトンが豊富な水)青水環境において、降雨は水質維持に重大な変化をもたらします。

光合成と呼吸のバランス崩壊

通常、植物プランクトンは光合成により、アンモニアや硝酸塩を吸収しながら酸素を供給します。しかし、雨天時は日照量が著しく低下するため、光合成活動(酸素供給)が停滞し、呼吸活動(酸素消費)のみが行われる状態となります。
これにより、飼育水中の溶存酸素量(DO)が低下し、同時に二酸化炭素濃度の上昇によるpHの酸性化が進行します。


硝化過程の阻害

雨の日には植物性プランクトンの働きが期待できないため、青水特有の天然のろ過フィルターとしての水質面での浄化作用も期待できなくなります。また硝化バクテリアが同時に存在していたとしても飼育水の浄化を担う好気性バクテリア(ニトロソモナス属、ニトロバクター属、タウムアーキオータなど)は、活動に酸素を必要とします。溶存酸素の低下は、アンモニアを無毒化する「硝化過程」の効率を低下させます。
この状況下で餌(有機物)を投入することは、生化学的酸素要求量(BOD)をさらに高め、水質崩壊のリスクを増大させる行為と言えます。


 

簡単に言えば、普段よりも酸欠になりやすかったり、水が汚れやすいから餌を与えることで追い打ちをかけないようにしよう!といった感じ。

雨による水温低下による影響:変温動物としての代謝特性

次に、メダカ自身の生理機能への影響について。メダカは変温動物であり、その代謝活性は外部環境の温度に完全に依存します。

消化酵素の活性低下

魚類の消化酵素(トリプシンやペプシン等)には「至適温度」が存在します。降雨、特に冷たい雨の流入により水温が急激に低下した場合、これらの酵素活性は著しく低下します。
代謝が低下した状態で摂餌を行うと、未消化の餌が消化管内に滞留することになります。これは消化不良を引き起こします。結果的にガス溜まりや転覆病などの疾患を誘発する可能性が考えられます。


水温変化のない雨の例外

一方で、夏場や梅雨時期の長雨など「気温・水温と雨の温度差がほぼない」ケースにおいては、酵素活性への阻害要因は発生しずらくなります。前述した溶存酸素の問題がクリアされている環境(エアレーションや十分なろ過能力がある場合)であれば、給餌は必ずしも禁忌ではありません。


 

簡単に言えば、雨で水温が下がると微生物達への影響だけでなく、メダカ自身の代謝が下がるから与えないほうが無難だよ!でも、雨といっても水質も水温も変えない普段の足し水のような優しい雨のあるから、それなら餌を与えても平気!といった感じ。

冬場の餌やりがNGな理由

冬季の降雨に関しては、上記に加え「物理的ストレス」の観点から極めて慎重な対応が求められます。

水温ショックと振動ストレス

冬眠(越冬)状態にあるメダカは、基礎代謝を極限まで落としています。この状態で冷雨による更なる水温低下や、雨粒が水面を叩く物理的な振動が加わると、生体は防御反応としてエネルギーを消費します(ストレス反応)。
冬場の降雨対応で重要なのは、給餌の有無以前に、「雨水の流入防止」と「直接的な刺激の遮断」です。したがって、冬季においては波板などで蓋をし、環境を静穏に保つことが最優先事項となります。(冬の雨の日の餌やりはNG)



雨の日の給餌への考え方

  1. 環境要因: 植物プランクトンによる自然浄化に依存しているか?(依存度が高い場合は、日照不足による浄化能力低下を考慮し給餌中止)
  2. 物理要因: 雨水による急激な水温低下が発生するか?(低下する場合は、消化機能不全を防ぐため給餌中止)


「雨だから与えない」という風に単純に覚えるのではなく、飼育環境の生物ろ過バランス水温面での変化を観察し、適切にコントロールすることこそが、プロフェッショナルな飼育管理と言えるでしょう。

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