
本格的な冬のシーズンですが、皆さんの地域では気温の変化はどうでしょうか?
冬の間、時折ふと訪れるのが「季節外れの暖かさ(小春日和)」です。 日差しが強く、最高気温が20℃近くまで上がると、水面ではメダカたちが春のように元気に泳ぎ回ります。
「あぁ、今日は暖かくて良かった。今のうちに太陽光を目いっぱい当てて、温かくしてあげよう」
もしそう思われている方がいたら……ちょっと待ってください!
実は、冬越し中にやってくるこの「一時的な暖かさ」こそが、メダカの冬越し失敗の引き金になる可能性があります。
今回は、この後に必ずやってくる「寒波(揺り戻し)」に備え、あえて「水温を上げない」という管理方法について、その科学的な根拠と共にお話しします。

まずは、冬場の三寒四温を伴う気温変化を冷静に見てみましょう。
たった数日で、最高気温が10℃以上も急降下し、夜間は氷点下に迫ります。
この「ジェットコースターのような急激な環境変化」こそが、変温動物であるメダカにとって最大のダメージ要因となります。
「暖かいなら、体力が温存できて良いことではないか?」
そう思われるかもしれません。しかし、生物学的な視点で見ると、これは非常にリスクの高い状態です。

メダカは「変温動物」であり、水温の変化が直接、体内の代謝速度に影響します。
生理学には「Q10(温度係数)」という指標があり、一般的に生物の化学反応は、温度が10℃上がると速度が約2〜3倍になると言われています。
冬場に水温がグンと上がると、メダカの体内で以下のことが起こります。
せっかく「冬眠モード(低代謝状態)」に入りかけていた体が、水温上昇により強制的に「春モード(高代謝状態)」に切り替わってしまいます。
活発に泳ぎ回ることで、本来冬を越すために温存すべき蓄え(体脂肪など)を激しく消耗します。
最も恐ろしいのは、体が「活動モード全開」になっている状態で、数日後に水温2℃の世界へ叩き落されることです。
生理機能がフル稼働している状態で急激に冷却されると、細胞レベルでの適応が追いつかず、神経系や消化器官に深刻なダメージを与えます。これが寒暖差で「調子を崩す」正体です。
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では、どうすれば良いのでしょうか。
答えはシンプルですが、実行するには少し勇気がいるかもしれません。
それは、「必要以上に水温を上げない」ことです。
数日後に寒くなることが分かっている場合は、小春日和であっても、あえて飼育容器に「簾(すだれ)」などを掛け、日陰を作ります。
簾の効果は日除けだけではありません。夜間に地上の熱が奪われる「放射冷却」を防ぐ「蓋(ふた)」としての役割も果たします。
日中は日差しを遮って水温上昇(上)を抑え、夜間は水面の熱が逃げるのを防いで水温低下(下)を和らげる。 この「上と下の両方」から温度変化を抑え込むことで、ダメージを劇的に減らします。
最高水温を上げないだけでなく、最低水温を下げすぎない効果も重要です。
光と熱を遮ることは、「今はまだ冬だよ、寝てていいよ」とメダカにメッセージを送ることになります。
中途半端に水温が上がって体が「活動モード」に切り替わる(無駄な覚醒)のを防ぎ、エネルギー消費を最小限に抑えながら、次の寒波にも備えられる体勢を維持させます。
水温が上がってメダカが寄ってくると、ついつい餌をあげたくなるのが親心です。
しかし、数日後に寒波が確定している時は、以下の対応が鉄則です。

変温動物であるメダカは、水温低下とともに消化酵素の働きも低下します。
お腹に餌が残った状態で寒波を迎えると、消化が止まり、餌が体内で腐敗してガスが発生したり、内臓疾患を引き起こしたりします。
「心を鬼にして、簾をして、餌も抜く」
これが、不安定な気候における冬越しの重要テクニックです。
関連記事・・・波板の活用方法(現在執筆中)
数年前、僕がこの「冬にあえて日差しを遮る」という方法を紹介した際、一部の方からは「冬にお日様を当てないなんて非常識だ」と笑われたこともありました。
しかし、その後の寒波で調子を崩していくメダカたちを数多く見てきました。自然界では水深の深い場所に潜って水温変化を避けることができますが、小さな飼育容器の中では、人間が環境をコントロールしてあげるしかありません。
【今回のポイント】
全国的に気候変動が激しく、冬の天気も読みづらくなっています。
ぜひ、ご自身の地域の予報をチェックして、大切なメダカたちを守ってあげてください。
【参考動画】環境による水温差の現実
過去の実験動画にて、「置き場所」や「太陽光の有無」によって、水温がどれほど劇的に変わるかを検証しています。百聞は一見に如かずですので、ぜひYoutubeも併せてご覧ください。