メダカの痩せ細り病(やせ細り・立ち泳ぎ)の原因と対策と治療方法

メダカの痩せ細り病(やせ細り・立ち泳ぎ)の原因と対策と治療方法

特に目立った外傷などはない状態で急激にやせ細りフラフラと立ち泳ぎのようになり、最終的には衰弱死していく不治の病ともいえる瘦せ細り(やせ細り)病について。

メダカの痩せ細り病(やせ細り・立ち泳ぎ)について

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痩せ細り病は2種類ある?

やせ細り病といっても飼育者側の捉え方は様々です。
メダカが痩せる原因は無数にあり、全ての痩せが「やせ細り病」とは限りません。
この記事では本当の意味での「やせ細り病」と他の病気によって、ただ単に「痩せている」ものの2種類をご紹介します。

痩せ細り病とは


謎が多かった瘦せ細り病においても近年の研究によって色々と分かってきたことがあります。

症状

特に目立った外傷などはない状態で急激に痩せ細っていき、最終的には衰弱し死んでいきます。

私の経験上では斜めに泳ぐという異常も見られます。

より具体的に言えば、今まで問題なく元気だったメダカが数週間から1ヶ月程度の比較的短期間で急激に痩せていきます。
フラフラとふらついたような泳ぎ方で立ち泳ぎ病と言われるような泳ぎ方も見られるようになってきます。

 

原因

やせ細り病が発症したメダカの腎臓組織において、寄生虫やマイコバクテリウム(抗酸菌)による細菌感染が確認されます。
マイコバクテリウム(抗酸菌)および寄生虫などが主な原因として考えられます。

観賞魚の世界で古くから見られるマイコバクテリウム症(抗酸菌症)は病気の特性上、不治の病とされてきました。
この辺りのマイコバクテリウム症(抗酸菌症)がメダカ業界で言うところの痩せ細り病である可能性があります。

 

治療方法

原因となる菌が抗酸菌であった場合、一般的な魚病薬は効きめがありません。
仮にエルバージュのような強力な魚病薬を使用したとしても治療は困難と言えます。

 

やせ細り病の歴史

これまで瘦せ細り病の原因は細菌感染や寄生虫以外にも先天的な内臓等の疾患、水質悪化、エラや消化管、筋肉や肝臓、生殖線の異常など様々な原因が諸説言われてきました。

 

ただ、近年の研究ではエラや消化管、筋肉や肝臓、生殖線など各種器官において痩せ細りにつながるような病変は確認されず、痩せ細り病を発症したメダカ達の大半において腎臓組織にて寄生虫のような象が確認されたそうです。
またそれ以外にも、腎臓組織に抗酸菌(Mycobacterium科)の感染が疑われる病変が観察され、実際に抗酸菌の存在も確認することが出来るそうです。

 

古くからマイコバクテリウム症が原因であると言われてきたメダカの瘦せ細り病ですが、抗酸菌以外にも腎臓組織への寄生虫の寄生も主な原因であると考えられています。

 

仮に瘦せ細り病の原因が現状言われているようなマイコバクテリウム・抗酸菌であった場合、治療は困難と言えます。

 

唯一の救世主?


地球上のありとあらゆる、どんな菌をも殺菌してくれる救世主のような存在があります。
それが、自然界最強のパワー・エネルギーを誇る存在=太陽光です。
太陽光の紫外線であれば抗酸菌でさえもやっつけてくれます。

 

ただ、現実問題としては、抗酸菌は魚の内臓や筋肉にも癒着していると言われているため紫外線が魚の体内の病巣まで届くか、また抗酸菌が死滅してくれるほどの紫外線量に魚達が耐えられるか、という問題があります。
現実的には治療自体は難しく、予防になれば良いなといった程度です。
また殺菌能力の高いイソジンのような殺菌消毒薬を使えば、抗酸菌を殺菌することもできますが、現実的にこれも難しいと言えます。

マイコバクテリウム(抗酸菌)や寄生虫はうつる?

抗酸菌や寄生虫などの病気はうつる可能性があります。
通常は免疫力がある健康体のメダカ達であれば、うつらないことも多いですが、予防として痩せ細りの症状が確認できた場合には隔離等をおすすめします。

 

汚泥や容器の丸洗いの推奨


必ずしも悪い物とは言えない容器にへばりつくゼリー状のバイオフィルムのようなバクテリアの住処も抗酸菌の拠り所になります。
私はよくyoutube上で汚泥などの蓄積物は病気の温床となり得るという話をしていますが、瘦せ細り病が多く出る様な容器においても丸洗いおよび太陽光による殺菌消毒などしておいた方が無難です。

 

痩せ細り病ではないタイプの痩せ症状

ひとつ誤解しないでいただきたいのが、やせ細ったメダカの全てが瘦せ細り病のメダカとは限りません。メダカが痩せる原因は他にも沢山あります。

単純に他の病気が原因によって痩せているケースも多々あります。
カラムナリス、エロモナスなど、メダカの病気には色々なタイプがあり、メダカ達の体液を吸い取り体力を奪うギロダクチルスやダクチロギルス、白点病やコショウ病など寄生虫の存在もあります。
これらの病気の場合もメダカたちは栄養を吸い取られ痩せていきます。
どのような病気の場合も病気の進行に伴い痩せていく可能性があります。

 

喧嘩が原因による痩せもある

また痩せる原因は病気だけとは限りません。
メダカたちの小競り合い=喧嘩も痩せる原因の一つです。

メダカたちはテリトリー争い(縄張り争い)が激しく、時には1匹のメダカが集中的にいじめられることがあります。
そういったメダカをよく観察してみていると餌を全く食べられていません。
魚というのはストレスを感じると成長が阻害されます。
その上、餌を食べる事さえできないほどのストレス、当然痩せてきます。
関連記事・・・メダカは喧嘩するの?テリトリー(縄張り)をめぐった戦い行動

 

立ち泳ぎ病=痩せ細り病

私はメダカたちが瘦せ細り病になるとき、大なり小なり立ち泳ぎになっていることが大半だと思っています。
ネット上では瘦せ細り病と立ち泳ぎ病が分けて分類されていますが、原因となるものが一緒である可能性があります

いずれも不治の病に近い、マイコバクテリウムや寄生虫などを原因とする痩せ(立ち泳ぎ)である可能性があります。
立ち泳ぎ病と瘦せ細り病を分けて考えるのではなく同じものとして考えるとすごく合点がいくことが多くなります。

カラムナリスなどの細菌性の病気だったり、その他の寄生虫などが原因による痩せは瘦せ細り病とは言えません。
本来の瘦せ細り病は斜めに泳いでいる立ち泳ぎ病、これこそ、瘦せ細り病だと思っています。

 

症状


痩せ細り病の初期段階では良く見ると若干泳ぎ方に違和感を感じ、少し体が反ったようになることがあります。
更に進行していくと斜め泳ぎ・立ち泳ぎになります。

と同時に少しずつやせ細っていきます。

 

他の病気であれば進行してくると早い段階で死んでしまいますが、立ち泳ぎタイプの瘦せ細り病に関しては痩せ始めてから2か月前後経っても痩せたまま生きていることもあります。

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