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2種類の残留塩素

観賞魚飼育において一般的に言われる水道水に含まれる塩素が遊離残留塩素です。
水道水に含まれる遊離残留塩素濃度は各ご家庭の蛇口 (給水栓)から出てくる時点で1リットルあたり0.1mg(0.1ppm)以上の濃度を保持することが水道法によって義務づけられています。
水換えの際に使用する水道水には最低でも0.1mg以上の濃度、実際にはもっと高い値の塩素濃度が含まれているといえます。
※また地域によって濃度が異なり、浄水場に近いと塩素濃度が高くなる可能性があるとも言えます。

この遊離残留塩素が残っていると魚の鰓(エラ)を傷つけるおそれがあります。
本来、塩素はその強力な殺菌効果によって細菌類を殺菌することが目的として水道水に投入されています。
細菌類が死滅させる働きと同様に魚のエラの上皮細胞を壊死させてしまう場合もあります。
通常、魚は肺魚など一部の魚類を除けば通常はエラ呼吸です。
鰓(エラ)を介してアンモニアを体外に排出したり、浸透圧の調節など行っています。
鰓(エラ)の損傷は魚類にとって呼吸困難を招くなど致命的とも言えます。

水道水に含まれる細菌類(バクテリア)の殺菌目的として使用されている塩素は当然、飼育水中の硝化バクテリアへも影響してきます。
塩素が含まれる水道水を飼育水中に入れることで、飼育水中(濾過槽含む)のバクテリアに影響を及ぼします。
バクテリアの活動が鈍くなり弱ったり、場合によっては死滅するコロニーも出てくるでしょう。
またアンモニアと塩素の反応によって発生する結合残留塩素というものもあります。

観賞魚飼育における塩素は2種類存在します。
一つが前述の水道水に含まれる遊離残留塩素です。
そしてもう一つが飼育水に含まれるアンモニアと水道水に含まれる遊離残留塩素が反応して発生する結合残留塩素です。
結合残留塩素は魚達にとってよくない化合物で一般的にクロラミンとも呼ばれています。
一般的な水道水に含まれる塩素が遊離残留塩素、その遊離残留塩素と飼育水中のアンモニアの結合によって発生したものが結合塩素(クロラミン)です。どちらも魚達にとって良くないものとなります。
一般的にクロラミンというとモノクロラミンを指すことが多いです
関連記事・・・アンモニアと塩素の化合物であるクロラミンについて
モノクロラミンはアルカリ条件下で塩素とアンモニアの反応によって生成されるためメダカの屋外飼育において発生しやすい結合残留塩素と言えます。
一方でクロラミンなどの結合残留塩素は水道水に含まれる遊離残留塩素と比べ揮発性が低いと言われています。
これらは自然と抜けていきづらい残留塩素です。
このモノクロラミンも魚にとって有害です。
結合残留塩素(クロラミン)の発生を抑えるのは簡単です。
水道水の塩素を抜かずに使用してしまうと飼育水に含まれるアンモニアと反応しクロラミンが生成されてしまいます。
逆にいえば、水道水中の遊離残留塩素をしっかりと除去しておけば、結合残留塩素の発生も防げます。
塩素なんてすぐに抜けてくれるからと安易に考え水道水を直入れしてしまう人もいますが仮にすぐに抜けたとして水道水に含まれる遊離残留塩素がモノクロラミンなどの結合残留塩素を生成してしまいます。
モノクロラミンを使った消毒剤などもあるくらい塩素同様に消毒効果(殺菌作用)があるものです。
遊離塩素同様に魚のエラや体表粘膜、また飼育水中の微生物・バクテリア(細菌)へも影響を及ぼします。
遊離塩素も結合塩素(クロラミン)も消毒性が強く、水中の微生物・細菌にも影響があります。
メダカ達が高濃度の遊離塩素や結合塩素(クロラミン)にさらされると活動が鈍り呼吸が早くなり、時には呼吸困難を引き起こします。
水換え直後に魚達の動きが突然鈍くなったことはありませんか?
こういった時に塩素やクロラミンによる酸素供給の阻害が原因の一つであろうと考えられます。
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※水道水の残留塩素と同時に水質も測れる水質チェッカー

水道水の中に含まれる塩素は屋外であれば強い太陽光(紫外線)によって分解されていきます。
夏場であれば半日、冬場でも1~2日も太陽光にさらせば問題ありません。
置き水、溜め水するだけで塩素は揮発性が高いので十分に抜けていきます。
※エアレーションなどで曝気するだけでも抜けていきます。
夏場であれば、全換水なども多く、また塩素もすぐに抜けていきます。
ただ、春先や秋口、また季節の変わり目においては飼育水を残した状態での部分換水や割り水を使用した水換えも多くなってきます。
この場合、結合塩素(クロラミン)の発生に気を付けたいところです。
室内の場合も塩素の除去には注意する必要があります。
水道水には塩素だけでなく重金属も含まれています。
重金属とは比重が4以上の金属を重金属と呼びます。
水道水に含まれる重金属には主にクロム、カドミウム、亜鉛、ヒ素、ニッケル、銅、鉛(エン)、アンチモンなどがあります。
ヒ素なんて聞くと説明しなくても有毒性がありそうだなと分かっていただけるのでは?
水道水に含まれる重金属は微量のため飲料水として飲む分には気にする必要はありませんが、水道管などの老朽化など場所によっては水道水の品質的が観賞魚の飼育にとって不向きな状態になっていることもあります。
メダカたちは水の中に住んでいます。
魚にとって水は空気のような存在であり、水替えという行為は空気を綺麗な状態に保つものでもあります。
空気が悪くなってきたから空気の入れ替えをするために窓を開けたら花粉まみれの空気で余計に体調を崩してしまった。
重金属や塩素は、そんなイメージかもしれません。
そういった時に僕たち人が空気清浄機を使うように魚達の世界では浄水器や中和剤が活躍します。
塩素を除去する方法にもいくつかあります。
一つが観賞魚用の浄水器を使用する方法です。
例えばマーフィードのスタンダードを例にあげると、まずコットンフィルターで鉄サビなどを取り除き、続いてファイバーカーボンフィルターで水道水に含まれる残留塩素や有機物を取り除きます。
人間用の浄水器だとミネラルが添加されていたり水が硬水に傾いたり人にとってはよくても魚にとっては過剰な栄養素が水に含まれてしまうこともあります。
そのため、基本的には観賞魚用のカートリッジが使われている浄水器を使う必要があります。
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もっとも一般的な観賞魚用の浄水器になります。
もう一つが中和剤の使用です。
通常の塩素中和剤、テトラのコントラコロラインのような中和剤があります。
長々と塩素についてお伝えしてきましたが、これ一つあれば塩素の中和という分においては十分といえます。
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