近親交配の影響と対策~背曲がりを例に考える累代の注意点~近親交配で起こりうるリスクと背曲がりを例にして考える累代をしていく上での注意点について当サイトの記事は全てyoutubeにて映像と共に動画でもご覧いただけます。近親交配の影響近親交配によって、その個体群(系統)においての近交退化(きんこうたいか)や近交弱勢(きんこうじゃくせい)が起こりやすくなります。これによって個体の生存力や繁殖力の低下、また異常な形質が表に現れてきます。メダカの場合の具体例潜性遺伝子の顕在化潜性遺伝子とは普通ヒレの個体と、潜性遺伝子であるヒレ長個体を掛け合わせた子の世代、F1世代では形質が表に現れてきません。子の子=孫の世代になると鰭長がでてくるようになります。このような遺伝子を潜性遺伝子と言い、こうした遺伝を潜性遺伝と言います。※F1(雑種第一世代)=子の世代異品種交配において累代を進めていくことにより潜性遺伝子が表現型として表に現れてきます。品種改良はこのようにして進められていきます。wy遺伝子(wavy、ウェイビーいでんし)潜性遺伝子の中には奇形個体、骨格異常などを引き起こす悪い遺伝子も存在しています。例えば、親はめちゃくちゃキレイで体型も良いのに、子の世代や孫の世代で背曲がりになる個体が出てくる場合。これらはメダカの脊椎湾曲に関する遺伝子(背曲がりの遺伝子)であるwy遺伝子(うぇいびーいでんし)によるものです。wavy遺伝子が発現するとメダカの脊椎が波状に湾曲し背曲がりを引き起こします。※wy遺伝子として表記されることが多いウェイビー遺伝子の特徴体色や性とは関係なく独立して遺伝する単純潜性と呼ばれる形質。メダカの体色や性別などに依存せず、どういったメダカにも形質として表れてくる。仮に種親であるメダカの体型がキレイであったとしても累代を重ねていくにつれ、こうした祖先のもつ遺伝子が表に現れてくることがある。胸鰭欠失の遺伝子遺伝子の中には胸鰭が欠失する遺伝子もあります。Pectoral fin less(ペクトラルフィンレス)この遺伝子も潜性の形質として常染色体上にある遺伝子です。関連記事・・・鰭の変異(pl)メダカの胸鰭(むなびれ)・胸ヒレがなくなる遺伝子について動く遺伝子トランスポゾン新しい遺伝子はブリーダーたちによって作られているわけではありません。メダカはトランスポゾンと呼ばれる動く遺伝子、転移因子(てんいいんし)を持っています。これにより突然変異が起こりやすい魚ともいわれています。メダカ達の新しい遺伝子・形質は人為的に作られているわけではなく、突然変異によって生まれています。幹之メダカの外光も、近年のヒレ長形質も、ダルマ体型も全て、人が作ったわけでなく突然変異的に出てきたものです。ブリーダーたちはこれらを目ざとく見つけて、それを固定し品種改良(異種交配)によって各種メダカ達にその形質を加えていきます。累代の過程において突然、胸鰭のないメダカが生まれてきたり、突然、腹びれのないメダカが生まれてきたり、突然、背曲がりが生まれてきたりするのは、こうした表現型としては表に表れてきていなかった遺伝子、潜性遺伝子によるものです。また祖先が持っていた潜性遺伝子が累代、近親交配が進むにつれて突如として表に現れてくることもあれば、トランスポゾンのような遺伝子によって突然変異的にこうした形質が表れてくることもあります。どの程度まで累代が可能?結論から言えば選別の仕方次第で無限に可能ともいえます。野生下ではどうなの?野生下ではアルビノ個体やダルマ体型のメダカを見ることはほとんどありません。ただ、生まれてきていないわけではありません。爬虫類でも両生類でも、哺乳類でも野生下においてもアルビノ形質は突然変異によって生まれてきます。ただ、その多くは子どもの間に淘汰されていきます。自然界では環境に適さない遺伝子を持つ個体は生存競争の中で淘汰され、その場所の個体群が持つ遺伝子プールのなかから除外されていきます。自然界では固有の個体群の中で進化していき固有の遺伝子をもったり、環境の中での有害な遺伝子は自然淘汰されていきます。また、メダカは池や川、野生下においても閉鎖的な空間で繁栄してきた魚のため近親交配にも強い魚だと言われています。飼育下では?飼育下においては自然淘汰という作業を私たち人が行う必要があります。ダルマ体型もアルビノ形質もかわいらしいメダカです。ただ、通常のメダカ達と同じ個体群で育成していると餌取りなど様々な面で負けてしまい淘汰されやすくなります。こういった品種においては、それぞれその個体群(品種別)に分けて飼育する必要が出てきます。累代は各種品種の特徴を残しつつ、良くないと思う形質を避け選別を繰り返していきます。10世代20世代と適切な選別によって累代を重ねていくことで野生下同様に累代が進んでいくほどに強いメダカになっていく部分もあります。また、20世代を超えるあたりから、その系統においての遺伝子の組成がほぼ同一となり近交系となります。累代は通常の屋外飼育において、進められてもせいぜい年間2~3世代が限度です。ビニールハウスや加温飼育などによって冬場も繁殖し累代を進めたとしても年間6世代が限度と言えます。多くの愛好家が雨ざらしの屋外飼育であることを考えると年間2世代、10年かけてやっと20世代進む程度です。累代による近親交配による悪影響など心配しなくとも、おそらくは、その間の期間に「今年はいいオスに巡り合えなかった」、「今年はオスばかりでメスがいないんだよね。」こうした状況に陥り、嫌でも新しい血が入ることになるでしょう。結論として、改良メダカの累代において血が濃くなることは気にする必要はありません。大切なのは選別あるのみです。異系統の血を入れたからと言っても選別が疎かでは、近交退化や近交弱勢が起こります。逆に累代を重ねても悪い遺伝子を子の世代に引き継いでしまわないようにしっかりと選別していけば問題になることは少ないです。その都度、臨機応変に対応していく必要があります。雑種強勢等の話も含めて、動画ではより詳しく解説しています。こちらの記事の動画タイトル「メダカの近親交配の影響と対策~背曲がりのwy遺伝子~」



